俺と凛は、凍っているであろうデビルイスの所へ急いだ。
無論、村の人々には一切公言していない。騒ぎが大きくなるだけだ。
「・・・・・・クッ・・・」
「もうすぐか・・・?」
「凛・・・・・・今ならまだ間に合うぞ?」
「ふっ、何度も言うんじゃない。私は決意を表してLenはそれを受け止めて形にしてくれたじゃないか。」
「やはり、そうか・・・・・・」
「当たり前だ。」
「さて、もうおしゃべりはここまでだ。そろそろだぞ。」
氷が剥がれ出していた。
だんだんと色が現れる。だが、その色も俺が戦った時とは違っていた。
氷色とでも言おうか。とにかく薄い水色。あの蒼い鱗が一つも見えない。
「こりゃぁ・・・・・・凄い事になってんなぁ・・・」
「これが・・・デビルイスか・・・」
――ウオォォォ・・・・・・――
「ようやくお目覚めの様だな、デビルイスよ。」
「何だ?誰だ!?」
「デビルイスさ。あいつは声ならぬ声を上げる事が出来るんだ。」
「・・・・・・・・・」
――その声・・・・・・お主か・・・・・・――
「ああ、そうさ。あの時、俺は確かにお前を真っ二つにした。」
――だが、我は此処にいるぞ。――
「だから、戦う前に教えてくれ。この事態になったのはお前では無いんだな?」
――・・・だいたい読めた・・・だが、これは我のした事ではない。――
「今、読めたと言ったな?教えろ。俺はこの世界から早く離れたい。」
――ふっ、分かっているのに何故聞く?――
「・・・・・・やはり、殺さなきゃ駄目か・・・・・・」
――お主の隣にいるのは・・・・・・?――
「ああ、俺の妻。結婚したんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
――ふっ・・・・・・・・・これから生死を賭けた戦いをする者同士がこの様に話し合うとはな・・・――
「今までもそうだったがな・・・」
――そうだな・・・・・・――
「お前とは、また戦いたい。そう思ってたからな。夢であれ、現実であれ、楽しませてもらうぞ。」
――我も同じ事を考えていた・・・が、そろそろ行かせて貰おう。――
「凛、準備はいいな?」
「・・・・・・・・・・・・」
「敵はかなり手強い。くれぐれも、油断だけはするな。」
そう言いながら俺は太刀の飛竜刀【楓】を構える。
「今回で本当の終わりにさせてもらう!この楓がお前を滅ぼしてやる!」
「・・・・・・・・・・・・」
凛は無言で龍刀【朧火】を構えた。
「凛・・・・・・・・・大丈夫か?」
「正直に言えば・・・怖い・・・・・・」
「・・・・・・それは俺とて似ている。誰だってそうさ。」
「・・・・・・」
「俺はお前の決意を受け止めてそれを形にした。あれは嘘だったのか?違う筈だ。」
「私は・・・死ぬのが怖い・・・・・・・・・」
「・・・・・・ならば、俺に命を預けてくれ。俺は、命を賭してお前を守り抜く。」
「約束する・・・?」
「勿論。」
「分かった・・・私はあなたを信じよう。守ってくれ・・・」
「・・・と言うことだ。俺には守るべきもんが出来ている。そう易々とはやられんぜ。」
――その方が面白いと言うもの。掛かってくるが良い!!――
「行くぞ!!凛!!」
「分かった!!!」
「ウオォォォ!!」
俺は真正面からデビルイスに斬りかかる。
「先ずはっ!!」
俺はヤツの攻撃を掻い潜り、デビルイスの足に突き→切り上げ→切り下ろしのコンボを食らわせた。
だが、ヤツに怯む様子は無い!
――ふん、氷のお陰で硬くなっとるわ!その程度の攻撃、効きはせぬ!!――
「チッ、厄介だな・・・・・・」
「ヤァ!!」
凛が尻尾に縦切りをお見舞いする。
「クッ!!Len!硬すぎる!」
弾かれた所にデビルイスの回転尻尾が!!
「ウッ!!」
「チィ!!!」
俺は間一髪太刀で防御する。
――ほう、なかなかの覚悟の様だな!!――
「負けられねぇなぁ!!」
「Len!!」
「ああ!」
一旦退き、俺と凛は二人横に並んで太刀を構えたまま突進する!!ある程度近づいた所で俺と凛は別れて左右に分かれた!
二人でタイミング良くデビルイスの足に突きを入れる!そして、切り払い!
しかし、デビルイスにはあまり効果が無い。
「なっ・・・」
「ここまで硬いとはな・・・」
――ふっ、もう終わりか?――
ヤツの体から大量の電気が流れる!
「グゥ!!」
「キャァ!!」
忘れていた・・・その色にすっかり忘れていた・・・ヤツは雷を操る最悪の敵・・・
「凛!大丈夫か!?」
「あ、ああ。まさか、あそこまで硬いとは・・・」
「俺も予想外だ・・・」
ヤツが電気を纏って体当たりしてきた。
「そう簡単にはやられん!」
紙一重でかわした所で凛が片方しかない翼に太刀を差し込む。
――グゥオォォォ!!!――
「凛!!!そのまま引きさ・・・・・・」
そこまで言った時、電気が流れ出していた。
「凛!!武器から手を離すんだぁ!!!」
「えっ!?」
俺は言うより早くに凛に体当たりして電気が流れる少し前に太刀から手を放した。
「グッ。」
「ウッ。」
「・・・危なかったな・・・もう少しで焼き鳥だったぜ・・・」
「・・・・・・助かったよ・・・だから、離れてくれ・・・」
「ああ、スマン。」
起き上がり、頭に鬼人斬りを与える。
――グウォ!!――
「凛!今の内に剣を抜くんだ!!」
「ハァ!!」
ズボッという音と共に血まみれの剣は抜けた。
俺が凛に気を取られている内にヤツは噛み付き攻撃を仕掛け、俺はまともに受けてしまった!
「グワァ!」
「Len!大丈夫か?」
「・・・なんとかな。」
そんな一進一退の状態が小一時間程続いた時。
「これで!」
凛は尻尾の切断に成功した!
「凛!ナイスだ!」と俺は爪を攻撃しながら叫ぶ!
しかし・・・
――またしても尻尾を斬りおったな!!許さんぞ!!!――
その憎しみを持った声に怯む凛。
「凛!!危ない!!!」
デビルイスが放った憎しみの篭った雷ブレスが凛に直撃する!!
「キャアァァァァ!!!!!!!」
「リーーーーーーーーーーーーン!!!!」
俺の叫びがこだまする。
しかし、駆け寄ろうとした俺の目の前に、デビルイスが。
凛の真上に立ったデビルイスは何のためらいも無く血が出ている足で凛を踏んだ!
「ーーーッ!!!!!!!」
凛の声無き声がこだまする。
そして、その声も聞こえなくなった・・・
「ウワァァァァァァア!!!!」
俺は震えた……
――我を舐めるでない!――
「……………」
長いようで短い間の後。
「貴様・・・・・・・・・覚悟しろよ・・・・・・・・!!!!」
俺は完全に覚醒した…………