第五章

…ふん、なかなかやる様だな。
あいつめ…
「そらぁ!」
俺の頭部を狙った乱舞は直前でかわされる。
――こいつでどうだ!――
「ぐっ!」
勢い余って隙が出来た俺にサマーソルトが来る。
間一髪避けた所に追い討ちが来る。
それを余裕で避けた…つもりだった。
突如、俺の体に電流が走る。
「!?」
――ふん、我を甘く見るな!――
「くっ、雷か…!」
俺にあたったもの。
それは奴が呼び寄せた雷だった。
「甘かった…!」
直後に来た噛み付きを何とかかわして間を空ける。

既に戦闘開始から1時間は経過していた。
互いにもはや力は無い筈だったが。
それでも戦い続けていた。
一進一退の攻防が続いていた。
「はぁはぁ…」
――クッ…――

まさか、ここまで強いとはな……
そろそろ限界だな…
「そろそろ、俺は限界だが…」
――我も、だな。――

暫く俺と奴は見つめ合っていた。
隙を見せれば、終わり。
そんな状況で。
俺は笑っていた。
何故?分からない。だが、楽しんでいた。
命を懸けて戦っていると言うのに。

――ふっ、主も我も限界であろう。だが、互いに譲れんものはあるであろう?――
「ああ。だから…」

――『お前を倒す!!』――

俺は力強く走り出す。
奴も突進してきた。
だが。
俺は途中で跳んだ。
そして。

――何ぃ!――

俺は奴の背に馬乗りで乗ると胴体と翼の繋ぎ目に勢い良く剣を差し込み、もう一つの剣で翼ごと切り裂いた。

――!!!!――

しかし、その瞬間奴の体から大量の電気が流れ感電してしまった。
「グゥゥゥ!!」

デビルイスは地面頭から叩き付けられ、俺もまた地面にぶつかってしまった。
「くっ!!」

くそ…完全に双剣は使いモンにならねぇ…
俺は奴が気絶している間に砥石を使い切れ味を回復させる。
「これで良しと。」
と、同時に奴も起き上がる。

「はぁはぁ。もうこれで…お前は空を飛べん。」
「後はその角だ。覚悟しろよ。」
――我が…無様だな……だが、もはやプライドは捨てた。死ぬ気で掛からせてもらう。――
「……」(妙に落ち着いている……これが……逆鱗状態か……)
…その角。ヒビが入っている。もしかしたら……
「俺も死ぬ気になろう。じゃなければ死にそうだ。」
……卑怯かもしれんが、これも戦術だ。
「悪く思うなよ。」
――!?――
俺はポーチから閃光玉を取り出し、投げつけた。
辺りに眩い光が広がる!
――クゥ!!――
「ハァ!!」
俺は懇親の力を込めて双剣を振り下ろす!
『バキッ!!』
と凄い音と共に力の象徴たる角は折れ、同時にデビルイスは大きく怯み倒れこんだ。
――グォォォ!!!――
「………ふぅ。」
「さて、討伐したし。戻るかな…」
――まだ…終わってはいないぞ……――
「!!」
「力の象徴たる角を壊されてもなお戦おうとするか…」
――王として。逃げる訳にはいかぬのだ。負ける訳にはいかぬのだ。――
「……」
「だからと言って俺ははいはいと負けるつもりは毛頭無い。」
――それで良い。でなければ王としての名が廃る…――
「………ならば。」
俺は決意した。こいつを感服無きまでに潰してやろうと。
「来るがいいさ。俺も最後の最後まで戦おう。それでいいんだな。」
――……――
無言のまま戦いだした。
デビルイスは走ってこちらに向かってくる。
俺はそれを避けたところで脚に乱舞をお見舞いする。
しかし、デビルイスも飛び退きながら雷ブレスを吐いてきた。
「くっ!!だがっ!」
――ハアァァ…!――
「!!!」
こいつ、まだ奥の手を持っていたのか!
全身に雷の衣を纏いながら攻撃してくる。
「グワァァ!」
油断した。雷を纏った状態での飛び掛り攻撃をまともに受け、瀕死状態となった俺に更に追い討ちが来る!
それを紙一重でかわし続け隙あらば攻撃していた。
「ゼェゼェ……」
――クゥゥゥ!――
――お主には悪いが、これで最後にさせてもらう!――
「くっ!まだあるのか!?」
言うな否や高く跳び、こちらに一直線で向かってくる!
クソ、もう体が……
――ウオォォォォ!!!――
「負ける訳には…」
「負ける訳には行かないんだぁぁぁ!!!」
「ハァァァァァーーー!!!」
叫びながら俺は双剣の片方をブーメランの様にデビルイス目掛けて投げつける!
グオォォォォ!!!
叫びながらもまだ口を開き突っ込んでくる!
く……そ………
………
「………」
俺は残りの剣を両手で持ち。
デビルイスの口だけを見て。

体が当たる瞬間。

全ての力を込めて。

双龍剣を振り下ろし。

デビルイスを真っ二つに切断した。



血なまぐささがまだ残る洞窟の中。
俺はただただ、そこに立ち尽くしていた。
傍には切断されたデビルイスの亡骸。
様々な素材を剥ぎ取りやる事の無くなった俺は村に戻るまで無言だった。

村に戻った俺を迎えてくれたのは明るい顔の村長達。
だが、俺は暗かった。何故?分からない。
皆は褒めてくれた。良くやったと。
だが…俺は素直に喜べない。
何か…最高の戦友を失った気分だった。

それから俺はハンター稼業の傍ら、皆にデビルイスの存在を広めていた。
何故?分からない。
ただ……その存在を忘れることの無い様に。
雷轟き密林の王。
そうだな。別名を付けよう。
雷鳴竜で、どうだい?
あいつがまた現れた時。
その時まで、俺はこの名を広め続けよう。

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